「生きづらさを抱えたあなたへ」
過食症・拒食症・醜形恐怖症・自己臭恐怖症治療を
つづける私からのメッセージ

KY。 ――すなわち、「空気よめない」。

昨今、おもしろおかしく評されるこの言葉。
時代のムードをとらえた言葉として、とてもよく使われるようになった。

しかし、さりげなくこの言葉を頻用する人々は、この言葉の持つ排他的、そして暴力的なニュアンスに気づいているのだろうか?
今の世には、KY呼ばわりされることに怯え、人知れず息を潜めて暮らす人々がいることを知っているのだろうか?

その人々が生きる小社会にあって、「KY」というレッテルは、まさに社会的“死”を意味する。
そのため、もともと世間のコンセンサスを汲むのが苦手な人は、“空気を読もう”と懸命に努力している。 その結果、逆に“空気を読みすぎ”てしまうことさえある。
そもそも、いい塩梅というものが、よく分からないのだ。

例えば、拒食症や過食症といった摂食障害。 思春期・青年期の女の子が陥りやすい、この病。
最初は、「ダイエットしてキレイになりたい」という気持ちから始まる。

そんな気持ちを抱くのは、この世代の女の子であれば、決して珍しいことではない。
周囲のみんなから見直されたいという、小さな願い。
多くの女の子は、「ダイエットしようとしたけど、うまくいかなかったわ」と、ケラケラ笑いながら友達と騒いでいる。 そうして、ダイエットというこの世代特有の”熱病”から解き放たれる。

が、一方で、人知れずコツコツと、それこそ“寝食を忘れて”ダイエットに励み続ける女の子がいる。
彼女は、このことに“これから自分が生きていけるかどうか”の、言い換えるなら“実存”のすべてを託す。 それゆえ、簡単にそこから降りることはできない。
やがて彼女の体が叫び出す。
「苦しいよう!そんなこと止めてよ!つらいよう!」

 

生きづらさを抱えたあなたへ