ジェイゾロフト(塩酸セルトラリン)の官能的評価(7)

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(✕副作用だらけ)
<・飲むと、1錠(25mg)でもすぐに眠気がきた
・寝る前に飲んで起きると、頭痛や吐き気や震えが出ることがあった
・飲むのが少しストレスになった
・効果はあまり感じなかった>
(4904 うーたんさん)

(✕副作用)<以前通院していた病院でも多分服用していたと思うのですが、それはハッキリとはせず・・。
こちらの病院では、一日3錠(75mg)迄飲んでいた時期があったのですが、全然体質に合わず辛いだけの日々でした!!
元々持っていた頭痛・凄い肩凝り・吐き気・めまいに更に拍車を掛けた状態と言えばいいのでしょうか・・。
とにかく、この薬の服用をやめてから調子良くなったのは確かです>
(4683 山めさん)

(✕副作用・セロトニン症候群)<ジェイゾロフトを出され飲んだ時に、全身の筋肉のこわばり・手汗・全身の震え(手は特に)と吐き気・頭のふらつき、そして二日間ベッドから出られない感じがありました>
(4625 プゥーさん)

(✕動悸・ソワソワ・賦活症候群)<リーゼと一緒に処方してもらった時はそうでもなかったが、単品で処方されたときは逆に動悸がつよくなったような気がしてすぐにやめた。
仕事中集中出来ない状態、そわそわ感があり、早く薬がきれて欲しかった>
(4334 もっちさん)

原初的抗うつ薬である三環系抗うつ薬では、心毒性や肝毒性、そして口渇・便秘・過鎮静といった抗コリン作用がよく起こり、患者さんはその不快さを強く訴えましたが、SSRIではそういった副作用はかなり少ないです。
多いのは、吐き気・下痢といった胃腸症状、頭痛・めまい・振戦そして性機能低下です。
さらに、SSRIに特有の副作用が存在します。
その一つが「セロトニン症候群」です。
まず、発汗・発熱・頻脈・下痢といった自律神経症状で発症し、激しい不安・焦燥といった精神症状が顕在化し、ミオクローヌス・筋強剛といった神経症状が起こることもあり、果てはもうろう状態のような意識障害まで生じる。
「セロトニン症候群」の急性増悪時は、「悪性症候群」と酷似しています。
ここで、両者それぞれの特徴とその鑑別について触れておきましょう。
「悪性症候群」は、脳内ドーパミン濃度の急上昇によるとされており、抗精神病薬を急速増量(あるいは、抗パーキンソニズム薬を急速減量)した後、数日から数週間かかって徐々に発症するとされています。
その症状は、筋強剛・意識障害・40度程度の高熱などとかなり激しいものであり、さらに、嚥下困難・腎不全・果てはDICを合併した多臓器不全など非常に重篤な症状を呈することもあり、対応が遅れると落命することさえあります。
発症初期に必須の治療・対処としては、次のようなものが挙げられます。
1:補液・冷却
2:当然、原因薬の中止
3:ダントリウムの投与(軽症なら内服で。中等症以上なら静脈注射の繰り返しで)
他にも筋強剛の緩和のため、ブロモクリプチン・ジアゼパムの静注を必要に応じて繰り返します。
一方「セロトニン症候群」は、脳内セロトニン活性の異常上昇によるとされています。
これが起こるのはSSRI投与後の比較的早い時期であることが多く、一般的には「悪性症候群」ほど重篤化することは少なく、これが発症した後直ちに断薬すれば、そのまま治癒に向かうことが多いと言われています。
しかし、まれに「セロトニン症候群」も重篤化することがあり、そうなると「悪性症候群」との鑑別は非常に難しい。
また精神科病院でよく見られることですが、かなりの多剤投与が行われている場合、このような症状が起こってくると、原因薬剤の同定が容易でなく、対応は困難を極めることがあります。
さらに別の角度から、こういうことも言えます。
先述したように、「セロトニン症候群」は激しい不安・焦燥といった精神症状が必発ですが、これはうつ状態を反転させたものと考えることもできます。
すなわち、これは必要以上に強い抗うつ作用が発現されていると言え、そういった症候の一群を「賦活症候群(アクチベーションシンドローム)」と呼ぶことがあります。
これはいわば中枢神経刺激反応で、不安・焦燥のみならず、躁転など衝動性を上げること全般につながります。
すなわち、自傷・他害といった深刻な問題を引き起こす可能性があることを知っておく必要があります。
ただこれは、SSRIを服用した患者さんの誰にでも起こってくるものではありません。
いわゆる単極性うつ病の患者さんの場合、「賦活症候群」は極めて起こりにくい。
まさか双極1型障害(いわゆる普通の躁うつ病)で、感情調整薬の介在もなしにSSRIが用いられることはありえないでしょう。
しかし先述したように、双極2型障害のうつ状態で、それが双極2型障害であるとは気づかずに(すなわち単極性うつ病であると信じて)SSRIが用いられた場合において、こういったことが起こってくるものと思われます。
このような”躁的成分”の有無については、「そういったものが存在するかもしれない」とあらかじめ念頭に置いておかなくては、見抜くことはできません。
それと万一の危険に備えて、単剤を漸増・漸減するという”薬物療法の鉄則”を忘れてはなりません。
さらに「賦活症候群」については、他にも重要な指摘があります。

1)18歳以下の若年者にSSRIを投与したとき、自殺念慮、自殺企図、凶暴化が引き起こされやすい、との報告がなされた。
2)2013年、日本の厚生労働省は、大うつ病性障害(いわゆる単極性うつ病)に対し、18歳未満に投与しても効果を確認できなかったとして、添付文書を改訂し医師に慎重な投与を求めるよう日本製薬団体連合会に要請した。対象は「パキシル」「ルボックス・デプロメール」「レクサプロ」「ジェイゾロフト」といったSSRIの4製品、およびSNRIの2製品、NaSSAの2製品、計8製品である。

もし上記の通りであるとするなら、多くの18歳未満の若年者にとり、SSRIは「百害あって一利なし」ということになります。
実際はそう単純なものでもないのですが、(これは統計的処理の結果ですから、”有害・無効であるリスクが高い”ということであって、18歳未満の若年者のすべてに有害・無効であるとは言い切れない(それだから禁忌ではなく、慎重投与なのです。またここでは大うつ病性障害についての無効性をいっているのであって、例えばパニック障害なら同様に無効であるとは言い切れない、等々)。
いずれにせよ、このような状況で”臨床的信念”をもって、果敢に18歳未満の若年者に対しSSRI処方を行ったとしても、それは蛮勇というものでしょう。
ただし、上記1)については、そのような現象が確認されているだけで、原因はいまだ不明です。
18歳以下の若年者は、いまだ脳が不安定・脆弱で、薬の影響を極大化しやすいということでしょうか。

ちなみに上記の官能的評価では、うーたんさん・山めさん・プゥーさんが「セロトニン症候群」に当たると考えられ、また、もっちさんが「賦活症候群」といえるように思います。

(つづく)

熊木徹夫
(あいち熊木クリニック
<愛知県日進市(名古屋市名東区隣)。心療内科・精神科・漢方外来>
:TEL: 0561-75-5707: www.dr-kumaki.net/ )

本文は、
『精神科のくすりを語ろう・その2 ~患者による官能的評価の新たな展開~』熊木徹夫(日本評論社) )
から抜粋した記事です。

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