(Q&A)そもそも二人とも、性欲というものがよく分からないのです

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「(Q&A)そもそも二人とも、性欲というものがよく分からないのです」

 

Q:結婚して数年が経ちます。

 

最初の2年間ほど、夫と「いつまで経っても、子供ができないね」と首をかしげていたところ、

ある人から夫婦は性行為をするものであり、それでようやく子供ができるということを聞かされ、

驚いてしまいました。

 

そこで夫と一緒に性行為を試みたのですが、まったくうまくいきません。

まず夫のペニスが勃たず、むりやりこすったりしてやっと勃ってきたら、今度は私のヴァギナに痛くて入りません。

ヴァギナは濡れるものなのだそうですが、私はそのようになったことがありません。

何度か試みましたが、同じことでした。

 

そもそも二人とも、性欲というものがよく分からないのです。

でもどうしても子供が欲しい。

二人とも、子供は大好きです。

どうすればうまくいくのでしょう。

 

(20代女性)

 

A:性欲は、睡眠欲・食欲と並び、人間の三大欲求と言われています。

すなわち、それらは人間の最も根源的な欲望であり、本能に最も近いものと言い替えることができましょう。

 

一方、精神分析学者の岸田秀は、「人間は本能の壊れた動物である」と言い放ちました。

性欲といえど、人間が生まれ持ったものではなく、大脳が機能して後天的に獲得してきたものである。

それゆえに、性的倒錯のかたちには信じられないほど不思議なものが数多ある。

その例を挙げるなら、露出症・フェティシズム・性的サディズム・性的マゾヒズム・窃視症・・・といったものです。

 

岸田によると、正統な性欲のかたちなど、そもそもない。

各人が性的倒錯に及ばなかったのは、たまたまなのである。

自らの大脳において何が欲動のスイッチとなるかは、個々人が自己決定することなどできない、と。

 

私は岸田の説に強い説得力を感じるのですが、その岸田の考えに基づくと、

あなた方ご夫婦は、後天的に性欲がもたげてくる契機を逸し、その”本能”はただ壊れたままであった、ということになります。

 

よく、歪んだ性的言動を引き起こさぬため、また”誤って”子を孕むことがないように、”健全なる”青少年を導養すべく「性教育を行おう」という呼びかけがありますが、これは獣のごとき性欲をあらかじめ飼い慣らしておかねば危険だという前提に基づく発想です。

すなわち、青少年を放っておくといつまで経っても子ができぬ危険性がある、などという可能性はほとんど考慮の外です。

 

現代のように、インターネットや雑誌などにおいてポルノなど一般的には性欲を掻き立てるとされるような情報が氾濫していて、幼少期でもそれらに容易に触れることのできる時代にあって、性欲に火がつかないまま大人になったということ自体、奇跡的なことといえるかもしれません。

 

性欲の結果として、妊娠・出産があるののが当たり前と考えられる今日ですが、私は、妊娠という目的のため性欲を醸成していくという”オクテ”の戦略は、当然あっていいと思います。

これも、性欲の”個性”のうちです。性欲の”個性”は、人に迷惑をかけるものでなければ、多様なかたちが許されてよいものでしょう。

 

夫婦が互いを慈しみ合い、愛撫する(一般的に「ペッテイング」といいますが)。

それを繰り返し繰り返し行う。

とりあえずは、その結果を求めない。

そして焦らない。

「これがひょっとして、性欲というものか」と感じる何かがあれば、それが再現できるように意識付けしていく。

 

このようなプロセスの施行について、義務感・使命感をもたないように慎重に配慮すること、そしてお互いの性感を開発することに楽しみを感じられるようになることが理想です。

そしてたまたまどこかで、双方の”昂ぶり”がうまく合致したときに、性交が成立するかもしれません。

 

古来より言い習わされている「あかちゃんは、こうのとりが運んでくる」という”こうのとり伝説”が湛える朴訥さを絵に描いたようなお二人。

お二人にそのような意図はないでしょうが、子供を”家族計画”に基づいて政略的に作ったり、あるいは”もはや不要である”と掻爬したりする殺伐とした時代にあって、その「あたりまえ」に対し根源的な問いを投げかけているなどというのは、少し穿ちすぎというものでしょうか。

 

熊木徹夫(あいち熊木クリニック

<愛知県日進市(名古屋市東隣)。心療内科・精神科・漢方外来>:TEL:0561-75-5707: http://www.dr-kumaki.net/ )

<※参考>

泌尿器科・性にまつわること ~『精神科のくすりを語ろう~患者からみた官能的評価ハンドブック~』(日本評論社)より~


PMS(生理前症候群/月経前症候群)をめぐる男女間のパートナーシップ


主治医を好きになったOL <精神科医熊木徹夫の「臨床Q&A」(3)>

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