あいち熊木クリニックでは主に精神療法と薬物療法(精神科薬物と漢方薬)を行っています。
精神療法は、臨床心理士による心理カウンセリングが中心で、薬物療法は、精神科薬物と漢方薬のコンビネーションを重視していきます。
薬物療法も”適材適所”、精神科薬物・漢方薬どちらか一辺倒ではなく、 本当にからだに合うものを丁寧に選んでいきます。
その際に、院長熊木が常に心がけていること、 それは、患者さんのもつ「官能的評価」を重要な治療のガイドラインのひとつとして尊重することです。
「官能的評価」とは、熊木が定義した言葉です。
具体的には、
患者あるいは精神科医の五感を総動員して浮かび上がらせたもの
(薬物の”色・味わい”といったもの)や、実際に使用してみた感触(薬効)、
治療戦略における布置(他薬物との使い分け)といったもの
のことです。
この「官能的評価」収集のため、熊木は次のサイトを立ち上げ、数年にわたりその管理・編集を行ってきました。
http://www.dr-kumaki.sakura.ne.jp/protect/bbs3/wforum.cgi(*「官能的評価」の結実は、以下の書籍において見ていただくことができます。
これまでに収集された「官能的評価」という莫大な“資産”をもとに、今目の前にいる患者さんご自身の「官能的評価」と照らし合わせ、1錠1錠じっくりその効果をからだで確かめながら試服することを繰り返していきます。
これは、薬物のポテンシャルを最大化し、かつ副作用をなるべく出させないようにするため重要なことです。
さらに、どの患者さんもがお持ちの“精神科薬物に対する漠然とした恐怖感(「精神科の薬って何だか怖いんだけど」)”に配慮し、服薬過程をからだでゆるやかに納得していただくためにも大切なことです。
ですからあいち熊木クリニックでは、いきなり4つも5つもの精神科薬物を新たに処方したりはしません。
精神科薬物の追加・変更は、原則としてひとつです。
それから、「精神科の薬ってやめられないのでは?それが怖い」という方、いませんか。
確かに精神科の薬にやめにくいものはあります。だから、薬の依存性に配慮すべきです。
ただ、一時的にはその依存の危険と比べても、薬の有用性が勝ることもあるのです。
依存の危険と薬の有用性をてんびんにかけ、有用性が勝れば慎重に処方する。
そして最終的に、薬から患者さんが離脱するところまで射程に入れて、処方を連続的にコントロールする。
あいち熊木クリニックでは、常にそれを心がけています。
最後に、「精神科の薬を飲んでいるとボケるって聞くけど本当?」という方もいると思います。
しかし、一般的に精神科医が「認知症」と呼ぶような元に戻らないとされるボケは、薬の服用によっては起こらないとされています。
ただ一時的にぼんやりし、もうろうとすることはありえます。
そのような状態をなるべく引き起こさないためにも、薬物の最少量での慎重投与はやはり大事になってきます。
医療に万全はなく、精神科薬物療法についても万全はありません。 しかし、できるだけ安全確実を目指す方法はあります。 あいち熊木クリニックでは、それをこれからも目指しつづけます。
熊木徹夫(あいち熊木クリニック院長)
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